第90話

もう2人の仲は半分崩壊しているようなものだ。


嘘ばかり吐いて、隠し事は増えて、聖也君の前では偽物のあたししか出て来ない。



他の男と寝たって、やっぱり黒い感情は消えてくれないみたいだし。



だったらいっそ話そうか。


大事な事を決めてしまう前に。



今日は言わないって決めてたけど、真っ白なモノに埋め尽くされて心が揺れてしまった。




しかし、聖也君はあたしのことよりも結婚式の話に夢中だ。





「色々、見に行って決めれば?」


「そう、だね」


「この式場とか。明日は予約が埋まってるだろうから、来週辺りにでも」


「え?」


「本当は明日行きたったんだけどな。お前、電話に出なかったから」




明日?来週?そんな急に…と焦るあたしの背後から資料を1つ手に取ると、聖也君はスマホを出して触り始めた。


予約する気、満々。

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