第65話

「ん…、ダメだって…」




理性と本能の狭間。


いや、どちらかと言うと本能寄り。



さっきからずっと流されてる。



触られたってキスされたって止めているのは口だけ。


ほんの気持ちばかり。



押し返そうとしている手なんて添えているだけで、ちっとも力が入ってない。



確かに気持ちは聖也君にあるのになんで?


拒否れない自分にビビる。



不感症みたいになっていた所為かな…。


あの日の感じまくっていたアレを思い出す所為かも知れない。


体が覚えているとか…、って謎な言い訳ばかりが頭に過る。



でも、もう東郷だってお見通しだ。そんなの。


あたしの欠片みたいな葛藤くらい。

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