第61話

「……どうしたの?」


「うん。何か…、ごめん。彼氏のアクセサリーが洗面所に置きっぱなしだったから」



妬いた。と弱々しく言われて何も言い返せなくなる。



直ぐに体を離されたけど、心臓の音は鳴り止まない。


ヤることヤッた仲なのに今更。


バカみたいに動揺している。



寝よ?って手を掴まれて息すら止まりそうになった。




妬いたと言われたことにか、寝ようと言われたことにか、何に心が乱されているのか自分でも分からないけど、とにかく頭の中が真っ白。



全然手を離してくれなくて、ひたすら呆然と固まっていたら引っ張るように抱き寄せられて再び腕の中に包まれた。


わざわざ布団を敷いたのに意味もない。


一緒に寝ようとばかりに抱き締められて動けなくなる。

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