第51話
「なんでそう思うの?」
「だって停学を免れさせて貰ったことがあるし」
「そんなのあった?」
「あったよ。兄貴から預かっていた煙草を鞄から落として。先生に庇って貰った」
「あぁ、あれね…。君だったの」
説明するように話されて思い出す。
そう言えばあった。
そういうこと。
教材を運ぶのを手伝ってくれた生徒がバランスを崩したのか、鞄から煙草を落としちゃって、運悪くその場に通り掛かった教頭に見つかった。
後から聞けば、お兄さんから預かった煙草を鞄に入れっぱなしにして忘れていただけだったらしいけど、その時は落とした生徒も凄い焦って、しどろもどろ。
煙草を吸う感じにも見えなかったし、なんで?って感じだった。
そもそも持っていたのが不思議。
とにかく荷物を運ぶのを手伝ってくれるような優しい子なのに、これで停学になっちゃうのかと思ったら何だか勿体なくて。
本当は良くないけど、あたしが落としたことにした。
煙草なんて吸わないし、軽く疑われたが、『根は不真面目なんです。見えないでしょ』って笑って乗りきった。
メチャクチャ怒られたけど、まぁ別にいいやってそんな気持ち。
その後は没収して軽くお説教をして廃棄。
あたしの中だけで終わらせた話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます