第19話

あぁ、そうだ。我慢出来ないって言ってたっけ…。と、奥まで押し込まれながら頭の片隅で思う。



味わうように体を揺さぶっておきながら、東郷は好きな女でも抱くようにぎゅっとあたしを抱き締める。


じわじわ心まで侵略されていくみたい。




もう言い逃れ出来ないや。


真っ白だった10年は既にただの過去になってしまった。


紛れ込んだ黒いもやが白い心に混ざって灰色に染まっていくかのよう。




でも、奪ってくれて良かった。


自分じゃきっと足を進められなかった。



そう思うのに心が苦しい。



普通に気持ち良くてショックだ。


愛情なんか無くとも返ってくるモノは同じ。


中身が詰まっていなくたって、そこから得るモノは何1つ変わらない。

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