第83話

「別れる、別れる、って口を開けばそればっか。いい加減、気持ち悪ぃんだよ」


「……あ、そ」

 

「だったら望み通り別れてやるから、今すぐそこのビルから飛び降りて死ね!」




およそ彼女に浴びせる言葉とは思えない言葉を吐き、貴ちゃんは私の頭に蹴りを入れた。



一瞬、意識が飛び、ガクガクと体が痙攣して数秒、真っ暗な世界の中、一気に嘔吐感が込み上げる。




あ、ダメだ、これ。


マジで死ぬ。


マジで殺されるやつ。



今すぐ逃げなきゃココで人生が終わる。


そう分かっちゃいるけど、体が動かない。



目を開ければ地獄の沙汰。


瞬く間に服と地面が血だらけになって、嫌な汗がダラダラと流れていく。



残ってた愛情まで流れ落ちるように、赤い液体が歯止めなく。

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