第82話

ホント、今までよく許してたわ、過去の自分。



きっと強烈な恋愛フィルターが掛かって何も見えていなかった。


嫌な面が綺麗に補正されて、もっと別の、何か違うモノをずっと見てた。



そうじゃなきゃ、おかしい。



だって、普通、気づくでしょ。



こいつが化け物だってことくらい。






「聞いてんのか!?」


「もういい…、聞きたくない。うんざり」


「は?」


「貴ちゃんとは別れる。いい加減、執着してこないで」




声を捻り出すように別れを告げたら、貴ちゃんは腹立たしげに顔を歪めた。



何かブツブツ1人で呟いてて怖い。


目付きが異常。


据わるどころか血走ってる。



本気で頭のネジがぶっ飛んだのかも。



こんな人目に付くような場所でボコるなんてヤバイし。


捕まってもいいとすら思ってそう。


それくらい今の貴ちゃんは頭に血が上ってる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る