第81話

……あぁ、これが貴ちゃんと付き合って得たモノだ。



“殴られると本当に星が飛ぶ”なんて事実、一生知らないままでいたかったよ。




思い返せば、辛いとか虚しいとか苦しいとか悲しいとか悔しいとか腹立たしいとか、抱いていたのは負の感情ばかり。


 

ちっとも煌めいていなかった。



貴ちゃんと一緒にいて最後に“幸せ”と感じたのはいつだっけ?



何ヶ月?それとも何年前?



少なくとも簡単には思い出せないくらい、遠い過去の話だ。




本当にね。



私、いったいドコから間違えたんだろう。



最初は確かに幸せを感じていたはずなのに、気付けば痛みが当たり前の日常になってる……と、ボコっぱちに殴られながら、どこかズレたことを考える。



ここまでされて“好き”だなんてどうかしている。


”それでも別れたくない“なんて頭がおかしい。



恋の魔法が解けかかった今、真剣にそう思う。

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