第80話

「兄貴の友達だろうが一緒にいたなら浮気だろ!」


「はい?貴ちゃんだって他の女の子といたんじゃないの?」


「……っ、黙れ!俺はいいんだよ!」


「意味わかんないし!なんで貴ちゃんはよくて私はダメなの?」


「お前は俺と違って悪意しかないだろうがっ!」




“お前のは不健全だけど自分は健全だ”と言いたげに叫ばれ、驚きのあまり目を見開く。



確かに不健全だけどさ。


自分だって不健全でしょ。


他の女に腰まで振ってるんだから。



それを“俺のはただの友情ですから”とでも言いたいのか?


だとしたら、こいつマジでヤバイ。


頭がおかしいんじゃ……?と心の底からドン引き。




その私の態度が更にムカついたのか、貴ちゃんは私の頬を叩き付けると、勢い良く拳を振り上げた。



やばいと思ったが、避ける術もなく。


ゴツッと鈍い音が頭に響き、瞼の裏にチカチカと星が飛ぶ。

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