第62話

古いお人形さんみたいな傷んだ金髪に、こんがりと日焼けをした肌。


派手なメイクで目力強め、少し筋肉質な手足を惜しげもなく露出している女の子。




……貴ちゃんの浮気相手だ。


あの日、玄関で存在を放っていた赤いピンヒールの持ち主。


貴ちゃんのサーファー仲間のギャル。



1回だけだけど、顔を合わせたこともあるから間違いない。



向こうだって私を見て、気まずそうにしてるし。



顔面がオバケみたいに痣だらけになってるから、っていうのもあるかも知れないけど。




「……どーも」


「ども」




とにかく騙ってるのも微妙だし、ペコッと頭を下げて適当に挨拶を交わす。


愛想は良くないけど、関係性を思えば挨拶をしただけ偉いと思って欲しい。

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