第58話

「んじゃ、肝試しは?」


「ヤメとけ。昨今は不法侵入ですぐにお縄だぞ」


「イケるイケる。ちょうどオバケみたいな顔になってるし」


「自虐すんなって」




兄貴たちにまで苦笑いを向けられ、ちょっと拗ねる。



缶酎ハイを手に持ち、肩を丸めてしょんぼり。



そしたら村田が口を押えて、ふっと小さく笑った。



やってることは大人なのに言ってることは子どもだ、って。




「拗ね花音だ」


「だって遊んでくれないんだもん」


「わかったよ。そんなに出かけたいなら、アイスでも買いにいく?」


「行くー!」



村田の提案にすっかりご機嫌で立ち上がった私。



それを見た兄貴たちが「ビール!」と、ついでに買ってこいと言わんばかりに叫ぶ。

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