第50話

そこから30分後。実家の玄関。




「……だから早く別れなって言ったじゃん」




ドアを開けて出迎えるなり、村田は私の顔を見てそう言った。



眼鏡を指で押し上げてデカイ溜め息を吐いてる。



うん。絶対にそう言われると思ってたわ。



思わず言いたくなるくらい、今の私の姿は酷い。



マンションを出るときも、すれ違った他の住人からビビられたし。




「今回は何が原因?」


「目付きが気に入らなかったんだって」


「そこまでくると因縁をつけてるとしか思えないね」




ドアがパタンと音を立てて閉まり、村田は出迎えたキューピーの頭を撫で回しながら、吐き捨てるように呟いた。



物凄く微妙な顔つきだ。



物言いたげな顔でじっと見つめられ、心臓がドキリと音を立てる。

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