第33話

思わず顔を顰めると貴ちゃんは「ごめん」と本当に申し訳なさそうな顔で謝ってきた。



さっきのブチギレていた貴ちゃんとは別人。



この殴った後の豹変ぶりは何なのか…。



今まで違和感なく受け入れていたことがおかしく感じる。


洗脳が解けたみたいに。



もしかして村田とのアレが良すぎたとか?



だから何も感じないんだろうか…と、カラダを揺さぶられながら、バカみたいなことをぼんやり考える。



目を瞑って村田とのアレコレを思い出してたら、いつの間にか感じている自分がいた。



だからもう、その後はずっと頭の中では貴ちゃんとじゃなく村田としてた。



脳内浮気。




貴ちゃんはそんなことも知らず凄く満足そう。



心は全く繋がってないのに。



3年の月日っていったい何だろうな…と、冷めた心の中で深く思った。

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