第19話

「ふーん」


「どうする?焼け木杭に火でも点けてみる?」


「はぁ?」


「今頃、彼氏もギャルと密会ナイトパーティーの真っ最中だし。こっちもこっちで楽しもうよ」




バカなことを言って村田にジリジリ近寄る。



アルコールの所為。


貴ちゃんだって浮気してるし。


おあいこ。



なんて言い訳を頭の中で考えてる時点で私も結構悪い女だ。




適当なことを言ってるけど、本音を言えば興味本位。


友情の壁を超えたら村田がどう変わるのか見てみたい。



それに半ば自棄もある。


向こうもやってるし、私もって。



いーや、全部言い訳。


好きな気持ちを思い出したら無性にちょっかいを掛けたくなった。



これぞ正に動物の本能。




「わかったから。ヤメろって」


「なんで?」


「触んな」


「いいじゃん」


「良くねーし」




壁にぶち当たって逃げ場がなくなった村田を捕まえて、頬っぺたをツンツン突っついてみる。



なーんだ。


女として見れないなんて嘘ばっかり。



村田ってば、すっごい恥ずかしそうだ。



照れた表情をしてる。

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