第2話

そんな愛しのダーリンの家に訪れた私、花音かのん(23歳)は、事が終るなり外へ追い出されそうになっている。


まだ服すら着ていないのに。




「今すぐ?」


「秒で」




手櫛てぐしで髪を整えながら聞いた私に、貴ちゃんは本当に面倒くさそうな顔を向けてきた。



用済み、処分ってシールを貼るみたいに。



“しっしっ”なんて手を振って、私をとっとと外に追い出そうとしている。



さっきまで気持ち良さそうに私の上で腰を振ってたのに、そんな愛しい面影なんてまるで無い。



プライドがズタズタ。



誰よ、あんた。本物の貴ちゃんはどこ?さっきまでの貴ちゃんを返せ、と言いたい。

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