第4話

年齢を誤魔化して……ってそんなの絶対に嫌。



そりゃ、お給料はいいかも知れないけどさ。


それが父親のギャンブル資金のためだと思うと納得がいかない。



私の存在理由は何?と悲観な気持ちになってくる。



しかし、そうでもしないと、にっちもさっちもいかない状況。


明日を生きていくには本当にそれしか道がない、って感じ。




「はぁ……」



溜め息しか出ない。


何かもう考えていたら疲れた。無理。


寝たい。動かなきゃ。


頑張りたい。しんどい。


生きたい。死にたい。



真逆な言葉が次々と頭の中に浮かんでは消える。




思えば昔からそう。


少し明るい人生になってきたかと思えば、すぐに最下層まで落ちる。



他人に比べて下で生きている時間が圧倒的に長い。


べベタの人生。


未来を見ようとしたって続くのはただの闇で、希望なんて皆無。



ドコに行こうが、誰といようが、“別に要らない”と捨て駒にされて終わり。



本当に要らない人間かも、私。と自分でも思えてくる。




まるで淀んだ深淵しんえんに漂い続けているみたい。


意識は常に青空の方に向いているのに、気を抜けば息も出来ないドドメ色の彼方へと精神が落ちていく。



まともに意識が保てない程、何も見えない薄汚れた世界。



目を開けても地獄、閉じても地獄。


底の底。深淵。



私のアビス。

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