第6話

「さて、始めますか」




その日の夜。



約束通り、あっくんの家に集合した。




集まったメンツは、あっくんと私と、同じクラスの畑中はたなか君と早川はやかわ君。




2人共あっくんとよく遊んでいる友達で、見た目も中身も明るい陽キャラくんだ。




教室じゃあまり話さないけど、学校外ではこうやって時々顔を合わせてる。



いつも優しいし、いい人って言葉がまさに似合うタイプ。




「瀬戸内が麻雀が出来るなんて意外だなー」




積まれた麻雀牌を整えていたら、畑中君が私に話しかけてきた。




人懐っこい笑みを向けられ「いや、まぁ……」なんて曖昧な笑みを返す。




出来ると言っても、私はあっくんに教え込まれて欠片程度にルールを覚えただけ。



あまり詳しくないし、相手の手を読む自信は全くない。




本当に私でいいのかな?



今さら心配になってきた。




でも、既に麻雀牌も積んじゃったし……。



今さら "ヤメます" とは言えない。





「出来て当たり前じゃん。俺が手取り足取り腰取り、教えたんだから」




ちょっと困った笑みを浮かべていると、あっくんが牌を取りながら鼻で笑った。



愛を持ってどうの……って、身振り手振り大げさに話している。




実際は隣で説明してるのを聞いてただけって感じだったのに。



あっくんったら、すぐにふざけるんだから。




「はいはい。つまり瀬戸内はあっくんの嫁な」



「嫁じゃねーし」



「いいって。惚気おつ」




口が止まらないあっくんをからかうように、早川君がヘラヘラ笑う。




それが何だか無性にもどかしくて「違う。私達はただの幼なじみだから」と否定した。



実際、付き合ってはいないし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る