第5話

「サンキュー」




無邪気に笑うあっくんは飛びっきりカッコイイ。



爽やかって感じだ。




切れ長の目に笑い皺が出来るところとか結構好き。




イケメンだよね。あっくんは。



女の子が騒ぐのも頷ける。




まぁ、短気すぎてモテないわけだけど……。




「今日はピンクか」



「はい?」



「ありあり。おかずにしよ」




ボケッと顔を見つめてたら、あっくんは私の肩をバシッと叩いて階段を駆け下りた。




意味もわからず「……何のこと?」と、去っていくあっくんの背中に尋ねてみる。




ピンクって何だろう?




そう疑問に首を傾げた私に応えるように、あっくんは振り向くと悪戯っぽくニヤリと笑った。




「シャツから透けて見えてっぞ」



「何が?」



「ブラ」



「……え?えぇぇっ⁉」




あっくんに指を向けられ、慌てて胸を覆い隠す。




しかし、隠したところであまり意味はない…。




あっくんは意地悪く笑うと、走って逃げてしまった。




もう。マジでありえない。



恥ずかし……。



ってか、おかずって何よ……!?




「この、変態ヤロー……!!」




大声で叫んだのにも関わらず、私の声は静かな廊下の空気に混ざって溶けていった。

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