第3話

「もー、あっくん……」


「別にいいだろ」


「良くない。いい加減、離れて」




全く反省する素振りのないあっくんをたしなめつつ、体を必死に引き剥がす。



でも、あっくんはしっかりと私の腰に腕を回したまま。



全然、離れてくれる素振りがない。




「もうちょっとだけ」




挙げ句、私の髪に指を通しながらそう囁いてきた。




何が “もうちょっと” よ。



学校でこんな……。



本当にヤメて欲しい。



真剣にそう思う。




これ以上、抱き締められている現場を見られたら確実に噂になるし。



夏場に抱きつかれて暑苦しいのも嫌だ。



いい加減、ベタベタしないで欲しい。




それに何より、もう心臓が爆発しそうなんだよ‼



認めたくないけど、最近あっくんに抱き締められる度に凄くドキドキする。




いきなり身長も伸びちゃってさ。




いつの間にか逞しくなっちゃって。



あっくんが急に男らしくなるから悪いんだ。




もう、平気で抱き締めてこないでよ。




「遥奈……」




ドキドキしすぎて息が止まりそう。

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