第94話
「あ、原谷君。実は知り合いに校内を案内して貰っていたんですが、いなくなってしまって……」
「マジ?どっか行ったんかなぁ」
「さぁ……。置いていくような人じゃないんですが」
しょぼーんと肩を落とし困った顔を浮かべる香織ちゃん。
それを見たツンキーはヘラヘラと愛想の良い笑みを浮かべると、ドンッと自分の胸を叩いた。
「良かったら俺が案内するよ。ちょうど暇してたし」と。
貴様、慶彦を閉じ込めたのはそれが目的か……。
きっと見ていた全員が心の内でそう思っただろう。
生徒会室で待機しているピーコも今頃「嘘つき!この最低男」と、ギャーギャー怒っているに違いない。
しかし、ツンキーはニヤニヤ笑ってご機嫌だ。
自分が慶彦を閉じ込めたのに。
あまりにもバカらしすぎて面白かったのか鈴花が隣で吹き出した。
小春はドン引きを通り越して無の表情になっているけど。
「よし。じゃあ、証拠も押さえたことだしね。そろそろ仕上げと行こうか」
理央から突撃サインが入る。
それと同時に私、小春、鈴花の三人は隠れていた階段から廊下へ飛び出した。
その後ろから颯もカメラを隠して出てくる。
雄大は未だ物陰で撮影中。
理央もモニターの前。
下準備は万端だ。ここからが本番。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます