第85話

あのとき誰か廊下を通らないかと注意を払っていたけど、誰一人来なかった。


つまりその人が閉じ込められたことに気づいたのは閉めた直後、むしろ閉めた犯人でしかない。


それで鍵はツンキーが持っていたから借りにきた生徒もやっぱりツンキーで、閉めた犯人はツンキーに違いないって話に行きつく。



「熱心だな。生徒会新聞の取材か?」


「はい。そんな感じです」




実際は違うのだが、笑顔で答える。


広報の慶彦は生徒会新聞を作るため、時々こうやってビデオカメラを持って取材をしている。


メモを取るよりも確実だからと。



だからビデオを撮っているとはいえ、皆あまり違和感を感じていない。


ツンキーも近くを通ったけどスルーだったし、道行く生徒もチラリと見るだけで何もツッコまない。


あぁ、いつもの生徒会新聞のやつか。って顔をしている。



本当はツンキーが犯人だと裏付けるための動画作りだけど。


第三者からの目撃証言もあった方が信憑性も上がるだろうってことで撮っている。



私達が目指すところはツンキーの自白だから、あまり意味はないのかも知れないけど、念の為。



証拠としては薄いが使わせて貰おうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る