第82話

「澤田君はなんて言ってるの?」


「しょうがない、って」


「諦めちゃってるのか」


「うん。迷惑が掛かりそうだから生徒会も抜けるって昨日、俺に言ってきた」


「えぇ……。せっかく仲良くなれたのに?」


「一応、俺のところで話は止めてあるけどね」




驚く慶彦よしひこに理央が悲しそうに言った。



開け放った窓から見える空が暗い。


真っ黒な雲が空に浮いて雷が遠くの方でゴロゴロと鳴っている。



事態はかなり深刻だ。


私が想像していた以上に。



「せめてツンキーが犯人だと証明することが出来ればね。情状酌量の余地はあると思うんだけど」



しょげていた颯が独り言を零すようにポツリと呟く。


それと同時にピーコが私のところへ飛んできて、慰めるように自分のお宝を差し出してきた。


壊れたカメラの部品。


嬉しいけど、ちょっと困る。




「ねぇ、だったら……証拠集めをしません?」


「ツンキーが菜々を閉じ込めた犯人だって証明するの?」


「はい。そうすれば罪も少しは軽くなるかも知れませんし」


「いいね。目撃者の証言もいくつか集めたりして」


「証拠を出した上で自白に持っていこう」



提案した私に皆が顔を上げて頷く。


とにかく何もやらないよりはやった方がいい。


そんな心境で私たちの証拠集めの日々が始まった。

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