第77話

「あぁ…、大地の息吹。自然の源よ!」




開けばちょっとだけ涼しい風。


中の熱気と外の空気が入れ替わる。



サウナ状態から解放され、堪らず感嘆の声をあげた私。


そよそよと風が吹く中、生き返った気分になりながら涼む。



外を見れば部活を終えた生徒が門に向かって歩いていて、その中に澤田君の姿もあった。



やったー、ラッキーと顔がニンマリ。


窓の下。歩く澤田君に上から声を掛ける。




「澤田君!」


「あぁ、まだそこにいたのか」


「うん!片づけてたら鍵が閉まっちゃって」


「は?鍵?」


「そう。絶賛、閉じ込められ中です」




だから開けて欲しい胸を伝えたら、澤田君は「待ってろ」と言って校舎の中に戻っていった。



良かったー。助かる。


これで都市伝説にも七不思議にもならなくて済む。


思っていた以上に早く抜け出せてラッキーだった。


安堵の溜息。



「菜々」



程なくして準備室の扉の前に澤田君が来た。


ただ来たのはいいが、扉を蹴り飛ばしているような、けたたましい音が廊下から響く。



「おいおい、澤田君。いったい何をやっているのかね?」


「鍵がねぇんだよ」


「まさか壊す気ですか?」


「そっちの方が早い」



そりゃそうかも知れないけど!


校長の泣き顔と先生の説教顔が一瞬にして頭の中に浮かぶ。

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