『怒っちゃった澤田君』

「罰としてこの教材を片づけること」

補習が終わった後。

先生から罰を与えられた私は授業で使った教材を片づけるべく一人で準備室に向かった。

澤田（さわだ）君は別の先生に呼ばれて職員室。

１人だけ難（なん）を逃れて狡（ずる）い！なんて思いつつ、ガラリと扉を開けて準備室の中。

指定された場所に教材を置く。

教室の中を見渡せば埃っぽく物が沢山押し込まれていて暗い。

しかも暑い。暑すぎる。

汗ばむ肌にげんなりしながら、さっさと出ようと扉に向かう。

すると、鍵が閉まる音がした。

嫌な予感を感じながら扉を引いてみればやっぱり開かない。閉まっている。

おまけに準備室の鍵は南京錠タイプで外からしか開けられない仕組み。

一度閉めると中からは絶対に開かない。

おいおい、これが噂でよく聞く監禁イジメか？

それとも都市伝説みたいに気づかず閉められちゃったってパターン？

どっちにしたって、まさか自分がこんなことを経験する日が来るとは……。と冷静に考える一方で気持ちは焦る。

だってスマホは鞄の中。鞄は教室。補習は終わった。今は夏休み。先生は準備室の前をあまり通らない。つまり詰んでいる。

「えー……」

シャレにならないんですが⁉

学校の七不思議の一員に仲間入りするのだけは勘弁して貰いたい。

扉の前、この後の展開について真剣に考える。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい