第66話
「取り敢えず挑発をされてもキレないようにだけお願いします」
「そうだね~。向こうの思惑通りに動くのも癪だし」
「頼むよ。こちらも出来る限りフォローは入れさせて貰うから」
今後起こり得るであろう事態に備え、颯と雄大と慶彦の男子コンビが澤田君へお願いに出る。
キレて殴り返して停学、留年、退学なんて流れになったら嫌だし。
そこは仲間としてしっかりと澤田君にお願いする。
皆、校長との約束以前に澤田君を仲間として失いたくないと思ってきつつあるから。
「んー、まぁ、努力はする」
頼み込んだ私達に澤田君は曖昧な返事をした。
首の裏を手で擦って自信なさげな表情だ。
本当は約束できないと言いたそう。
「もう、いっそのこと体育祭の種目で勝負すれば?」
「いいね。澤田君とツンキーの一騎打ち」
「ほら、菜々ちゃんが仕掛けた下剤入りのパンを食べた方が負けとか」
「そこは辛子くらいにしておこうよ」
そんな皆の様子を見兼ねたのか小春と鈴花がぱっと顔を輝かせて言う。
それなら平和的だし、勝負にもなるし、いいだろうって案だ。
元々していた会議のテーマに戻ってきたって感じがする。
「ロシアンパンレットだね」
「下剤はさて置き、中身を変えれば使えそう~」
「騎馬戦とか短距離走もありじゃない?」
「校長が頷いてくれるかどうか」
「二人っきりは無理でも上手く当たるようにはしてくれるかも知れない」
各々思うように体育祭の種目についての話が進む。
澤田君は別に何だっていいって感じ。
相変わらず私に凭れ掛かって困ったような微笑を浮かべている。
後はツンキーがそれで納得するか。
何と言っても相手はヤンキー。
勝負と言えば喧嘩なのである。
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