第61話

「澤田君〜。怒らないでよ」


「お前らな……」


「それよりも!僕、疑問なんだけど。原谷君はどうやってピーコを連れ出したの〜?」



怒る澤田君を宥めつつ、颯が目をパチクリと瞬かせながら、あどけない顔でツンキーに尋ねる。


純粋な子供のような眼差しだ。


水族館で泳いでいる魚の名前でも教えて貰うような。



「そんなんチョチョイと鍵を盗んで鳩を隠し持っていけば直ぐだ」


「へぇー。凄い。生徒会室の鍵とか盗るの難しくなかった?」


「全然。情報通の俺の手に掛かれば校長室に忍び込むことくらい余裕よ」


「えー⁉ってことは誰にも見つからずに持ち出せたってこと?凄い」


「まぁな。あのババア、時々鍵を開けっぱで出ていくから。その隙をついて中に入ってさ」



天使のような悪魔に誘導尋問され、ツンキーは自分の犯行をペラペラと喋っていく。


得意げに話してますけど、あなた。その会話、全て理央に録音されてますよ。



「オッケー?理央。ちゃんと録音できた?」


「バッチリだよ」



証拠を収めてにこやかに笑う颯と理央。


ツンキーがしまったって顔をしたけど、もう遅い。

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