第59話

そう。問題はそこだ。



どうしてココにピーコが?


飼育小屋の鍵は閉まっているし、ピーコは普段生徒会室の鳥かごの中にいる。


生徒会室は夕方まで鍵が掛かっているし、飼育小屋の掃除をするのは昼。


万が一、窓が開けっ放しになっていたとしても、ピーコは基本的に臆病だから1人で外に出たりしない。


それこそ私が一緒にいるときにしか。


だからこそ自らココに来て閉じ込められた可能性は薄い。


誰かが連れてきて閉じ込めたとしか思えない。




「生徒会室の鍵は掛かってたよね?」


「そうだね。俺が開けたから、そこは間違いないよ」



不思議そうに小春と理央が言う。


騒ぎを聞きつけたらしい鈴花すずか雄大ゆうだいはやても来て、皆、不思議そうにしていた。



しかし、犯人はすぐに判明する。




「あれー?もう外に出しちゃったのかぁ〜。つまんねー」



良く言えば剽軽ひょうきん、悪く言えばバカっぽい声をあげながら、ツンツン頭のヤンキーがゴミ置き場の裏からひょっこり顔を出す。


ツンキーだ。


途端に澤田君の目が据わる。



「……お前がやったのかよ」


「ああん?」


「お前が犯人かって聞いてんだけど」


「そうだ。これで俺の凄さもわかったし、少しは懲りただろ。バカ女も」




鬼のように不機嫌そうな澤田君をさらに煽るようにケラケラと笑うツンキー。


肩に乗っていたピーコが怒り狂ったように羽をバサバサと羽ばたかせてギャーギャー騒ぐ。


透かさず澤田君がツンキーのところへ飛んでいきそうになったから、今度は私が羽交い絞めにして止めた。


ここで挑発に乗ったらツンキーの思うつぼ。


それは避けたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る