第58話

「落ち着いた?」


「うん」


「助けてやるから。騒ぐなよ」


「……わかった」



コクリと頷いてすぐ。


校舎から小春と理央が全速力で走ってきた。


その手には鍵。


途端に背筋が伸びる。


だって鍵。今すぐ開けなきゃ。何が何でもすぐ。


早くピーコを助け出したい。




「菜々ちゃん…!鍵っ」


「小春〜!ありがとう」


「いいの。それより早く出してあげよう」



お礼を言った私に小春は鍵を差し出しながら大きく頷いた。


澤田君が「俺が行く」と言って小春から鍵を受け取り飼育小屋の入口に向かう。


程なくして澤田君の手によりガチャリと音を立てて扉が開いた。



慣れ親しんだ澤田君の姿を目に捉えたピーコは一目散に澤田君の肩へ飛んでいく。




「ピーコ…!」



無事を確認して傍に駆け寄る。


するとピーコは私を見てすぐに飛んできた。


堪らず頬ずりをすれば『何よ!どういうことよ?怖かったわ!』と言いたげな目で見てくる。


撫でてやれば嬉しそう。


感動の再開だ。




「無事で良かったな」 


「うん」


「しかし、なんでピーコが飼育小屋に?」




傍に戻ってきた澤田君が不思議そうに首を傾げる。

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