第47話

しかし、落ち着いていようが、いなかろうが、皆と気になるポイントは変わらない。



一度、ツンキーの顔に向いた視線は流れるように頭の方へ。


やっぱり澤田君もそこは気になるらしい。


他の生徒だってそうだ。



横を通りすぎる度にツンキーの頭を一瞥していく。



「名前は?」


「ツンキーです」


「ツンキー…?」


「ツンツン頭のヤンキーでツンキー」


「勝手にあだ名なんか付けんな!俺の名前は原谷だぁぁぁッ!」



ビシッと澤田君の質問に答えた私にツンキーが青筋を立てて怒鳴る。


それも余程、腹が立ったのか私の肩を掴んでグラグラ。


キレっぷりが凄まじい。


眼鏡がふっ飛んでいきそうだ。




「なぁ…。俺に用があんだろ」


「そうじゃあっ」


「んじゃ、こいつにキレてんなや」



電動ぶるぶるマシーン状態の私を見兼ねたのか、澤田君がツンキーの手をパシッと払い除ける。



パシッというかズシッと。


それはもう、かなりの衝撃だったらしく、攻撃を受けたツンキーは腕を押さえながら「うぎゃあ!痛ってぇぇぇ!」と大騒ぎしている。



「ザッコ」


「誰がザコじゃ!腹立つ」


「払っただけだろ」



廊下を転げまわるツンキーを上から覗き込んでバカにするように鼻で笑う澤田君。


傍から見ればいじめっこと被害者だ。


もしくは魔王様に『ざまぁ』された序盤のモブキャラ。

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