『ツンキー現る』

第42話

「おいコラ、待てや」



生徒たちが行きう体育館の前。


着替えようと更衣室に向かっていた私をしゃがれた声のヤンキーが呼び止めた。



振り返って姿を見れば、眉無し、腰パン、口にピアス。


『スリーアウト。校則違反。生徒会室にGOです!』と叫び出したい気持ちを抑え、眼鏡のフレームを指で摘んで押し上げる。



どうしてだか殺気立った目で睨まれているが、気にする余裕はなさそう。



それよりも上。ツンツンに立ち上げたヤンキーの髪の方へ意識がいってしまって。



いったい彼はどうしてこの髪型をチョイスしたんだろう。


まるで頭の上で静電気でも起こっているみたいだ。



なぜなのか物凄く気になるし、真剣に問い詰めたい。


しかし、そんな気持ちを投げ捨てて、息巻く彼に呼び止めた理由を尋ねる。




「何でしょう?」


「お前、最近、よく澤田さわだと絡んでる女だろ」


「はい。そうですね」


「あいつに用があるから、ちょい今から面かせや」




素直に話を聞く姿勢を見せた私に、ツンツン頭のヤンキーことツンキーは、顔を近づけ鼻息荒く凄んでくる。

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