『愛でる会』
第38話
「そっか。良かったですね。クラスメートと打ち解けられて」
「いいちゃいいけど、何かな……」
「無駄に気を使われまくるよりは、いいじゃないですか」
時は過ぎて放課後。
体育祭の準備に向けて大忙しの生徒会室。
クラス旗について書かれたプリントに目を通していた
私に勉強を教えているとクラスメートに知られてから数時間。
澤田君のクラスでの居心地は改善されたらしい。
そのおかげか昨日よりも表情が明るくなって、心配していたコチラとしても嬉しい限り。
でもまぁ、何だかんだ文句を言いつつ、私が作った手作りピーコ弁当を、あの空気の中で普通に食べてくれた澤田君は間違いなくいい人だ。
校長だって澤田君の雰囲気が丸くなってきたと大喜びしている。
私達のミッションはかなり順調。
しかし、だ。
「おらぁ、澤田ぁっ。ここにいるのはわかってんだぞ!」
「隠れてないで出てこいや」
「へいへい澤田くぅん!開けてよぉ!」
ドンドンドンと生徒会室のドアを叩く音。蹴り飛ばす音。ガチャガチャと揺らす音。
激しい。
澤田君に構って貰いたい不良たちが闇金の取り立てなみに煩い。
不測の事態に備えて我が生徒会室の扉は頑丈かつ、電子錠でロックをされていて絶対に開かないというのに、必死にこじ開けようとしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます