第23話

この腹黒男め。


さては私を利用してこの危機から逃げるつもりだな……。


澤田君の『それは厳しい』って納得している顔が、私の導き出した答えが正解だと告げている。



しかも何が嫌かって、その案を本当の話として通してしまいそうだから。


校長も澤田君を更正できれば取り敢えず何でもいいとか言って頷きそうだし。




「だったら別に生徒会に入らなくても勉強は教えられるだろ」


「いや。菜々は週のほとんどをココで過ごしているから」


「それと俺の生徒会入りに何の関係があるんだ?」


「大ありだよ。生徒会室に出入りできるのは生徒会メンバーだけって決まっているし」


「知るか。特例を出せ」


「それは無理だよ。学校の決まりだからね」


「変えりゃいいだろ。何のための会長職だ」




手を変え品を変え理央は澤田君の追求を上手くごまかしていく。


だが、澤田君は面倒くさそうに理央の提案を跳ね除ける。


絶対にそうなるだろうとは思っていたけど、やっぱりか。



「とにかく絶対に入らねぇぞ、俺は」


「そこを何とか」


「ぜってぇ嫌」



必死に説得をする理央に澤田君は心の底から嫌そうな顔を浮かべる。


何が何でもお断りだ、って。



うん。まぁ、そうなるよね。わかってた。


あれだけ来ること自体、嫌がっていたし。


どれだけ理由をつけようが説得は厳しいと思う。

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