第21話

「何だよ。校長との約束って……」


「えー?澤田君が生徒会に入ったら恋愛禁止の校則を廃止にするって約束だけど?」


「はぁ?それが理由で俺をココへ呼び出したのか?」


「だってそうして欲しいって校長が涙ながらに頼むんだもん」


「ほー。校長がなぁ……」



凍り付いた部屋の雰囲気を見ることなく、颯は澤田君に余計なことをバンバン言う。


反逆心の塊で人の言う通りに動くのが大嫌いな澤田君に向かって裏事情をペラペラと。


澤田君の顔がますます鬼神のように歪んでいく。



あぁ……。澤田君の神経を逆撫でするようなことばかり言っちゃって。


せっかくココまで連れて来たのにまた振り出しだ。


勉強を教えて貰いつつ、じわじわと仲良くなって、いつの間にか生徒会入りして貰う予定が全てパー。


無邪気な悪魔によって早くも計画がぶち壊されてしまった。



メンバー入りの話は仲良くなるまで待とうって言ったじゃない。


おまけに校長先生の話まで出しちゃって。


『わかったぁ~』なんて元気のいい返事をしておいて、全く話を聞いてなかったなー。この悪魔。



「あちゃー」


一足遅れて生徒会室に入ってきた慶彦よしひこも頬を掻いて苦笑い。


見兼ねた小春が人差し指を唇に当てて『言っちゃダメ』と必死にジェスチャーを送っているが、颯は全く気づかない。

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