『生徒会室』

第20話

「やぁ、来てくれて嬉しいよ。澤田君」



次の日。


慣れ親しんだ生徒会室の長机の前。


余所行よそいきの顔を浮かべた理央りおが、生徒会室にやって来た澤田さわだ君に愛想笑いを向ける。


組んだ指の上に顎を乗せて穏やかに、まるで孫を見守るお爺さんのようだ。


出迎えられた澤田君も悪い気はしないらしく、顔に緩い笑みを描いている。



「良かったら、そこのイスに座って」


「そうですよ。僕たちはこちらで作業をするので。遠慮なく」



鈴花すずか雄大ゆうだいの眼鏡コンビも、優しく笑って澤田君にイスへ座るように勧める。


小春こはるもいそいそとお茶の用意なんか始めてご機嫌だ。


私も私で胡散臭いくらい機嫌良くニッコリと微笑んだ。



全部が全部、打ち合わせ通り。



しかし。



「あ、澤田君だ~。やほー」


はやて……」


「ここに居るってことは生徒会のメンバーに入ってくれる気になったんだね〜」


「あ、おい」


「良かった。これで校長との約束も達成できるね」



颯が生徒会室に入ってきた途端、空気が変わった。


理央が溜息を吐き、鈴花の動きが止まり、雄大の眼鏡がズレ、小春の顔が強張る。


私の時も止まってしまった。



春から冬。快晴から嵐。



さっきまで穏やかだった澤田君の表情がみるみる険しいものに変わっていく。

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