第13話

「……ここか」



階段を上り、廊下を歩いて一番奥。二階の端っこに噂の図書室はあった。


入口には鍵が掛かっておらず、開くとスルスルと滑りよく開いた。


中に入ってすぐ目に飛び込んできたのは、中身が空っぽの本棚とボロボロのカーテン。


ぐるりと中を見渡せば横倒しになった古い本と空き缶とお菓子の箱。


図書室独特の匂いと埃臭さが混ざって何とも形容しづらい匂いが鼻につく。



廃墟感が凄い。


しかし、薄暗かった廊下とは違い、図書室の中は意外と明るかった。


差し込んだ光の中に小さい埃が舞ってキラキラと輝いている。


ポカポカしているし、お昼寝をしたら気持ち良さそう。


まぁ、まずは掃除をしなきゃだけど。



そう思いながら窓の方に足を進める。





「誰だ?」



すると窓を開けた瞬間、奥にあった長ソファの辺りから声を掛けられた。


低い男の声。


反射的に顔をそちらに向ければ、金髪ピアスの厳つい男が眩しそうに目を細めて私を見ている。



うん。顔がいい。


好みど真ん中の塩顔。


彼が噂の澤田君で間違いないだろう。


このトキメキが本物だと証明している。



むしろ、そうであってくれなきゃ困る。


じゃなきゃこんな場所に一人でいる男なんてお化けか不審者の二択だ。


ちょっと怖い。

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