第14話
「あ、どうも。澤田君ですか?」
「そうだけど。誰だよ、お前は」
「1年5組28番。
凄まれて若干パニック。ヘンテコな動きで自己紹介を済ませ、ペコリと頭を下げる。
自分で言うのもなんだが、しどろもどろしちゃってかなり怪しい。
スパイ、もしくは不審者。または昔ここで不慮の死を遂げた女生徒の幽霊だと思われているかも知れない。
「食べ物の好みまで聞いてねーし」
「折角なのでお伝えしておこうかな、と」
「ぜってぇ必要ねぇだろ。そんな情報」
「ですよねー」
「変な女」
「たまに言われます」
訝しげに眉を顰めた澤田君に向かって、ピクピクと頬を痙攣させながら「ははっ」と引き攣った愛想笑いを投げる。
だめだ。帰りたい。失敗したような気持ちでいっぱいだ。
普段はもう少しまともなんだけど。
緊張のあまり態度がかなりおかしくなっている。
「もういい。うるせーし、帰れよ」
「そこを何とか!」
「いや、何とかしねぇし」
「そう言わず。私に付いてきてください」
「はぁ?」
「あ、勿論あの世じゃないですよ?行き先は生徒会室ですからね?私は幽霊じゃありませんし、そこら辺は安心してください」
「それはわかってるわ!」
念の為に行先を教えた私に澤田君は透かさずツッコミを入れてきた。
しかし「生徒会室?」とそこについては疑問を浮かべている。
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