第10話
「よし。じゃあ、彼を生徒会のメンバーとして迎え入れよう」
「ってことで決まりで」
「それはわかったけど〜。誰が澤田君を呼びに行くの?」
「んー、そうだねー。来て欲しいと言って素直に来るタイプでもなさそうだし」
「あ、だったら、ここは公平にくじ引きで決める?」
それまで黙って事の成り行きを見守っていた小春が、棒の入った丸い筒を長机の真ん中に置いた。
白いテープが貼られた棒の中に一本だけ赤いテープが張られた【ハズレ】の棒がある、普通のスタンダードなくじ引きだ。
代々、生徒会メンバーが使用している物で、担当者や役割など話し合いで決まらない事柄があれば積極的に使っている。
正しくは赤いテープが【アタリ】なのだけど、くじ引きを使うときは大概『引き受けたくない』って理由ですることが多いからか、いつしか【ハズレ】と呼ばれるようになった。
実際、私達も美化活動だったり、風紀当番だったり、そういうのを決める際に何度か使った。
使ったからこそ、ただ一人苦笑いを浮かべる。
「そうだね~。くじ引きで決めよっか」
副会長の颯があどけない表情でふんわりと笑う。
彼は運が良くこの手の物ではハズレを引いたことがない。
だから今回も白くじを引く気でいるのだろう。
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