第8話
ホント悪くない条件を出してきたな……と思う。
他のメンバーだって割に合わない取引だとは思わないはず。
【恋愛禁止の廃止を勝ち取る】って公約を掲げて生徒会に立候補したメンバーもいるし、より良き楽しい学校生活を私たちの力で作り出したいって野望もある。
堅物のこの校長が一人で首を横に振ってきた結果、今まで継続してきたわけだから、この人が頷けば廃止になるのは確実。
そうして貰えるなら私としてもありがたい。
この先、誰かと恋に落ちても、それが原因で停学なんてことになったらメチャクチャ嫌だもん。
「あの校則の廃止か…」
「それはオイシイですね。実現されれば目標にしていた公約が全て達成できそうですし」
「でも、澤田君の更生って難しくない?」
「確かにね。入った日には毎日危険と隣合わせになりそう」
「正直、引き受けたくないな……」
校長の口車に乗せられた生徒会のメンバーが各々意見を呟く。
それを一人黙々とノートに書き写していく書記の若葉小春。
こうやって会話の内容を聞いていると、皆この交渉に乗りたい気持ちはあれど、面倒ごとには首を突っ込みたくないと思っている感じだ。
もちろん私も気持ちは皆と同じ。
相手はあの澤田君だし。
出来ることなら関わらずに毎日平和に過ごしたい。
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