第76話
「アホか。何考えてんだ。やめとけ」
「嫌です。真面目に生きるのもうんざりしてたところだし、ちょうどいいです」
「ナメてっと、痛い目に合うぞ」
「上等です」
「……ガキ、だな」
そう言うか言わないかのタイミングで腕を引かれ、グッと身体を引き寄せられた。
躓きそうになった身体を彼の腕が力強く支え、その広くて逞しい胸の中にすっぽりと収まってしまう。
お兄ちゃんを思い出す力強さ。
でも、お兄ちゃんとは違う男の人の腕……。
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