第74話

「いや、その事はもう忘れろ。つか、昴の妹ってこともなるべく周りに隠しとけ」


「え?どうしてですか…?」


「昴もずっとそうしてたし。あいつは…味方も多けりゃ敵も多かったから」


「……敵?」


「立場的にな」


「…………」


「ま、別に心配しなくても普通に過ごしてりゃ何もねぇよ。安心しろ」




そう言って私の頭をポンっと叩く彼。



……誤魔化されてる。


そんなの一々考えなくたって分かる。



紹介したくないと言うよりは、私を気遣っての言葉だとは思う。


そういうのとは今まで無縁だったし、お兄ちゃんも頑なに不良の世界に私を関わらせたがらなかったから。

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