第68話

「よく聞こえましたね?騒がしかったのに」


「まぁ、耳は良い方だし」


「そうなんですか……」




熱くなった頬を片手で押さえながら、返事もそこそこに彼をチラっと見上げる。



そうなんですか。って…もっと別の言い方があるでしょ!と思いつつも、緊張の余り気の利いた言葉が出てこない。



そんな私の心境を見透かすように、彼の強気な眼差しが私の瞳をガッチリと捉え、ますます頬が熱くなっていく。




「……お前、昴の妹か?」




しかし、彼の口から出てきた名前に一瞬で血の気が引いた。



それはお兄ちゃんの名前が出てきたことにか、私が妹だと知られていることにかは、分からないけども…。

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