第67話

「チエミ」


「……はい」


「さっき、そう呼ばれてただろ」




ふいに彼が振り返って私の名前を呼んだ。


彼の凛とした目が私を映し、彼の低く耳触りのいい綺麗な声が私の鼓膜を揺らす。



ただそれだけのことなのに、頬が熱を帯び、紅く染まっていく。




彼は…きっと天然タラシというやつだ。



本人にそのつもりが無くても、無意識のうちに女の子を惚れさせてしまう。


顔も然ることながら、この人の放つオーラがそうさせてしまうんだ。

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