第69話
「そう、です……」
「やっぱそうか。あいつ何かにつけて“チエミ、チエミ”ってバカみてぇに言ってたから」
「…………」
「……悪い。バカみたいは失礼だったな」
「いえ、大丈夫です」
一瞬の間を置き謝ってきた彼に、笑みを返す。
バカみたいに。
そう。お兄ちゃんはバカみたいに妹の私を愛してくれてた。
だからこそ……知りたい。真相を。
きっと誰よりも知りたいと願ってる。
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