第56話

「あ、え、着物?はぁ?」



走ってきた大柄の熊みたいな男がボケっと突っ立っていた私を見て同じように驚く。



その声を皮切りに、近くに居たガラの悪い男達がチラリと私に視線を向けた。



無造作に止められた数十台の派手な族車の中心で、黒くて渋いデザインの旗がゆらゆらと揺れる。



低く轟くエンジン音と甲高いエンジン音のハーモニーが耳を劈く。




やばい……。かなりやばい。


確実にやばい。


不穏な空気に冷や汗が流れる。

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