第51話

予想通り単車が数十台走り回ってた。


5分前まで静寂に包まれていた工場内が、同じ場所とは思えないくらい喧しくなる。



オイルの匂いと排気ガスの匂いが充満し、鉄パイプを地面に引き摺るような甲高い音が聞こえた……と思ったら、近くに人が飛んできた。



その人がぶつかった拍子に積み重なっていた木材が派手な音を立てて崩れ、砂埃が辺りに舞う。



おかげで死角も無くなり、完全に丸見え状態だ。


隠れ場所を失い、若干焦る。



「もう、や、やめ……っ」


「………あ?」


「……ぐっ」




コツコツと歩いてくる靴音が聞こえ、慈悲を乞う男の頭を背の高い男が踏み付ける。

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