第50話
そうこう考えているうちに遠くの方から重低音が微かに聞こえてきた。
その音は徐々に大きくなり、やがて爆音となって工場内に入ってくる。
お兄ちゃんを連想させる懐かしい音。
立て続けに暗かった工場内を光が照らす。
間違いない。
単車のエンジン音だ。
でも、1台じゃない。
音からして数十台は居るはず。
……若しかして不良の溜まり場だった?
「えー。どうしよう……」
心臓がバクバクと音を立てるのを感じつつ、木材の陰からそっと覗いて見る。
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