第52話

小さな呻き声と苦痛に歪む顔。


こちらに背を向けているせいで顔は見えないが、後ろ姿だけでも分かる男の絶対的なオーラ。




奥まった場所で単車のライトの光も届かず薄暗い。


けれど、さっきよりも断然明るく姿がハッキリと見える。



何?喧嘩…?



怖さか緊張からか背筋がゾクッと震え、思わず後ずさる。


その瞬間、崩れ損ねた木材にぶつかって派手な音を立ててしまった。



“やばい”



そう思った時にはもう手遅れで、その音に反応するように男がゆっくりとこちらに振り返る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る