第21話

「中村さん?他人行儀な。親しみを込めてトッシーと呼んで下さい」


「黙れ。トッシー」


「冷たいなー。もう少し懐いて下さいよ。僕達、婚約者なんですから」




婚約者。


そう。半年前、突如として私の前に現れたこの青年は紛れも無く私の婚約者だ。



親が決めた、ね。




「前から何度も言ってますけど、中村さんには私よりもお姉ちゃんの方が合ってるんじゃないですか?年齢的にも」




シャンパングラスに入った葡萄ジュースに口をつけながら、チラリと中村さんに視線を向ける。



それは私の本心で心からの願い。


そもそもどうして私?


一回りも年下の私より、お姉ちゃんの方が絶対にいいじゃん。

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