第10話

そんな、皆に慕われていたはずのお兄ちゃんが亡くなったのは去年の夏。



これから夏休みに入るって時期だった。




その日、いや……前の日からお兄ちゃんは何だか様子がおかしくて。


その日は朝から慌ただしく家を出て行ったっきり、夜になっても帰って来なかった。



お母さん達は“いつものこと”と流してたけど、何度電話を掛けても出てくれないし、私は嫌な予感でいっぱいだった。



そして次の日、嫌な予感はただの予感だけで終わることは無く……。


取り壊し予定の廃墟のホテルでお兄ちゃんが亡くなっていたのを、訪れた持ち主のオーナーと工事責任者の方が発見した。

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