第89話

何がしたいのか分からない。


何の為に私を連れ出したの?


疑問でいっぱいになる。



そんな私を嘲笑うように茉依さんは唇に人差し指を当ててニンマリと笑う。


さぁ、本題を始めましょうか。とでも言いたげに。




「ごめんねー?周りに居る男、根刮ねこそぎいっちゃって」


「………」


「次は泰生たいせいとしよっかなー。近々会う約束もしてるし」


「……先輩と?」


「そう。したら、どんな感じだったか教えてあげるね?」




思わず聞き返した私をじりじりと壁に追い詰めながら、茉依さんは色っぽく口角を上げる。



女王様みたいに。


壁ドンのような体制を取られて息を飲む。




「ふふっ。嫌がるってことはそれなりに関係が進んでるんだぁ?分かり易い」


「な、」


「でも、私ねー、チエミちゃんのことが嫌いだから本当にするよ~?」


「き、嫌い…?」


「うん。大嫌い。理由は自分が1番よく分かってるよねぇ?」



茉依さんは笑顔で私を見てるけど、目が全然笑ってない。


怖い。

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